演出ノート

常に無気力でしかめっ面をしているキャラクターたちがたくさんいる物語だが…

 

だからといって、常に俳優・女優がそんな顔をしているわけではない。

 

私は暗くて、重苦しくて、稽古いくの嫌だなぁ~という雰囲気が大・大・大嫌いだ。

 

あの立場だから、この立場だからという壁も大嫌いだ。

 

芝居のことで悩んでいいけど、常にゆる~く、ゆる~くいたいのだ。

 

そんで面白いものをコツコツつくっていく。

 

第6ボタンに集まる役者やスタッフは毎回、私がやりたい座組の雰囲気を組んでくれるので助かる。

 

もちろん、しめるところはしめるけれども。

 

そんなゆる~い人々が、あんな傷つけあったり、怒鳴りあったり、それを演出つけちゃったりして…。

 

初めての俳優メインで動かした作品は本当に面白かった。

 

なんかもっと孤独感とか、もっと空しい感とか出してあげられたらよかったのだろうけど…。

 

すごく行動的で攻撃的な感じに仕上げた。

 

俳優がそういう風に作ってきてくれたし、最初はもっと穏やかな感じにしようと思ったけど。 

 

でも、あれが俳優の思う「りんご」の「オレ」なのだ。 

 

ヒトのことを思い切り殴るとこまでいくキャラにしなきゃいけないなと思っていたら、あんな方向性になった。 

 

でも、また違う俳優でやったら全然ちがうんだろうなと、すごい可能性のあるキャラクターだ。 

 

そんな「オレ」を取り囲む世界観の衣装発注はアダムスファミリーでとお願いした。 

 

「りんご」のくせに、ヒトぶっているというような形に持って行きたかった。 

 

一人だけ浮いていて、だから主役意外はみんななんだか顔が色あせている世界。

 

ただ衣装や髪の毛は色味があって欲しかった。 

 

そんなことを考えているうちに、主役は頭のサイドを借り上げ、ヒロインは頭をオレンジにした。

 

攻撃的だ。 

 

でも、それでいいと思った。 生意気だけど人気がある彼。問題は多いが、愛されたり、かまわれたり…。

 

でも一番大切なもの、一番欲しいものは全然手に入らない。 

 

俳優も攻撃的だ。 

 

俳優の言葉の言い回しは常に攻撃的。 でも、それでいいと思った。 

 

80分の中で、むきだして、ぶつけあって、すごい重量じゃないかと。 

 

今回は俳優同士の掛け合いがすごく多くて、絵的に満足のいくのかいかないのかというのをすごく気をつけた。 

 

「あんたはイケメン好きだね。」と言われたが「イケメンに仕上げた」のだ。 舞台マジック。 

 

恋愛のシーンが多かった。男同士のキスのシーンもいれた、なぜ暗転したのかと言われた。 

 

だって、そっちのほうが、次のシーンであんな風に出てきたら、おぉお!ってなるじゃないと思った。 

 

その次の衝撃のことを考えたまで。 

 

なぜ高校生なのかと言われたが、神楽とのつながりとかを考えるとそれが一番適した年齢だったからそうした。

 

恋人の名前を鉛筆で授業中に彫っていた学生が事件を起こしたとうニュースを見て、本当の出来ごとから脚本をチョイスするタイプだから、年齢をそっちにした。 

 

ファンタジーな作品だが、どこか真実味を帯びていてほしかったまでのこと。 

 

どこか謎が残って、嫌な終わり方をするのも賛否両論。 

 

第6ボタンを好きな人は好きでいてほしい。 そんな好きな人のために、今後も好きな作品を書き続けようと思う。